その先にはプロ版が

WordPress.orgの公式ディレクトリーに掲載されているテーマは、厳しい審査をクリアした安全、且つ堅牢なテーマが並んでおり、初心者でも安心して使用する事ができる。一方で、機能面では公式ディレクトリー外で配布されている所謂(いわゆる)野良テーマには及ばない。これは、「テーマはデザインのみのプレーンな仕様で、機能はプラグインで追加する」といった運営サイドが掲げている基本方針が影響しているのであろう。

その辺りの影響もあってか、公式ディレクトリーに掲載されているテーマの多くは、開発元の公式サイトにおいて、アップセルに相当する「プロバージョン(Pro版)」が存在する。

これには、テーマそのものを別にしたPro版があったり、フリー版に対してプラグイン形式で機能を追加する形のPro版があったりと提供形式は様々であるが、人目につき易い公式ディレクトリーに機能制限のある下位版(お試し版)を置いておき、自らが販売している上位の有料版への導線としているという点においては同じであろう。フリー版に対してプラグイン形式で機能を追加する形のPro版の場合には、フリー版そのものが収益にも影響するためか、完全に切り分けたテーマのフリー版と比べると更新頻度が高いようにも感じるが、それらを含めた有料版の多くは厄介な事にサブスクだ。

「Twenty Twenty」のリードデベロッパー、Anders Norén氏も同様の見解を示す

この件に関しては、2020年のデフォルトテーマ「Twenty Twenty」のリードデベロッパーであり、そのベースとなったChaplinも手がけるAnders Norén氏も同様の見解を示している。

同氏は、「公式のテーマ検索において、アップセル(有料版)が存在するテーマをフィルタリングすべき」といった踏み込んだ見解も示しており、自身は範を示すように有料のコマーシャルテーマを扱っていない。現在では公式ディレクトリーにおける各テーマのページに、開発とサポートをコミュニティが行っている「Community Theme(コミュニティテーマ)」と、テーマは無料で追加アップグレードやサポートは有料で提供する「Commercial Theme(商用テーマ)」との区別が明確に記載されている。