広告媒体としてのインターネットの価値が飛躍的な進歩を遂げるのに伴い、それを閲覧するためのWebブラウザーに対して、サードパーティベンダーが効果を測定するための様々なトラッカーを仕込もうと試みてくる。ブラウザーサイドもそれを安易と受け入れているようでは、ユーザーを掴んで留めておく事はできない。
このような現状においてプライバシーブラウザーの価値が高まる中、「JavaScriptの父」と称され、Netscape、Mozillaでの業績にて認知されているBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏が設立したBrave Softwareから、非常にアグレッシブなブラウザーが提供されている。その名も「Brave」だ。
「Brave」はオープンソースのブラウザープラットフォーム「Chromium」をベースとしており、プライバシーに関しては、トラッキングプロテクション、ビルトインのアドブロッカー、スクリプトブロッカー、フィンガープリントプロテクション、パスワードマネージャー、HTTPS接続への自動アップグレード等を実装する他、閲覧時に煩わしいだけではなく、ユーザーの追跡にも繋がると危惧されているCookie(クッキー)の許可通知や、数多の広告ブロッカーが手を焼くYouTubeの広告もブロック可能とする等、多数の強力なプロテクションを実装している。
特に、近年ではどんどん尺が長くなり、スキップの選択肢も狭められ、ユーザーの時間とネットワークトラフィックを奪うYouTube広告のブロックは非常に価値があると言える。また、「Chromium」をベースとしてしているために「Chrome Web Store」において提供されている拡張機能やテーマとも互換性があり、プライベートブラウジングにおいては、秘匿性の高い分散型のネットワークトラフィック「TOR(The Onion Router)」にも接続可能とする等、カスタマイズ性にも事欠かない。
全ての広告をブロックして自分の広告を見せるビジネスモデル
一方で、その収益モデルは独特なものがある。前述の通りに「Brave」では数多の広告、トラッカーをブロック可能としているが、一方ではデフォルトにて独自の検索エンジン「Brave Search」の広告が表示され、これらにはトラッキング(追跡)もある。ユーザーはBraveの広告を閲覧する事によって、独自の暗号資産(仮想通貨)「BAT」を貯める事が可能となっており、獲得した「BAT」はbitFlyerと連携する事もできる。
これは「Microsoft Rewards」と類似したシステムだが、Braveの「BAT」の方が先発である。また、設定によって「Brave」による広告や報酬を無効にする事も可能となってはいるが、サードパーティーの広告を片っ端からブロックして自らの広告を見せるという特異なビジネスモデルは、かなり踏み込んだ実装であると言えるだろう。